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淡水汽水域における成魚の生息環境


 さて、長い旅を終えて日本に到着したウナギはどのようにして私たちの食卓にのぼるのでしょうか。現在、私たちが食べているウナギはほとんどを養殖に依存しています。ここでいう養殖は、ウナギの稚魚であるシラスウナギを漁獲し、それを太らせ出荷することを言います。しかしながら、近年日本に来遊するシラスウナギが減少の一途をたどっています。ウナギ資源に何が起こっているのでしょうか。ここで述べたように、ウナギは産卵のためにマリアナ海溝まで回遊します。その生態は資源状況の把握や管理において大きな困難となっています。どの程度の親魚からどの程度のリクルートがあるのか、また日本に来遊したウナギが産卵回遊するまでに何年かかり、その成功率はどのくらいかなど、ウナギ資源について解明すべき事柄は山のようにあります。しかしながら、現状利用可能なデータであるウナギ漁獲量の記録は統一的なものではなく、記録の一元化が最大の関門となります。  本研究室では日本全国に散在する漁獲データの収集・解析を行うことで大海原を回遊するウナギの資源状況の把握を目指しています。また、ウナギ漁業やシラスの来遊において特色のある地域に焦点をあて、局所的な海洋物理環境とウナギ資源との関わりを研究しています。