研究テーマ

研究トピック

●ニホンウナギの産卵回遊および河川生活期における生態
●黒潮およびその接続流域における生物生産
●マグロ属魚類の成長・生残・回遊
●沿岸生態系
●その他





ニホンウナギの産卵回遊および河川生活期における生態

 土用の丑の日におなじみのウナギ。私たちの生活に深い関わりのある魚です。日ごろ何気なく食べているウナギですが、彼らがどこで産卵しどのように日本にやってくるのか、近年まで謎であったことをご存知でしょうか?科学技術、観測技術の発達によりようやく彼らの生活史が解明されようとしています。私たちの研究室では、ウナギの産卵場である外洋の海洋構造やその変動の解析を通じて、ウナギ卵稚仔の輸送過程や初期生態の解明を目指しています。また、河川などの淡水汽水域での環境や生態調査から、成魚に至るウナギ資源の変動要因に関する研究も展開しています。

北赤道海流の海洋構造
エルニーニョの影響を受けた
幼生の輸送拡散機構
安定同位体に基づく
レプトセファルス幼生の
摂餌生態
淡水汽水域における
成魚の生息環境
成長期の資源と生態



黒潮およびその接続流域における生物生産

 黒潮前線域には、前線波動に伴う低気圧性の擾乱が発生しています。この現象は、下層で貯蓄された高濃度の栄養塩を植物プランクトンが光合成を行える海面近くの有光層に供給し、植物プランクトン、ひいては動物プランクトンの生産性を飛躍的に高めるものと考えられています。一般に餌料環境が良くないといわれている黒潮の沖合域に輸送されてしまった場合に、どのような生物生産プロセスを経てエネルギーを得ているのか、親魚の産卵行動を含めて検討を行っています。

気候変動がカタクチイワシの
資源変動に与える影響
黒潮前線波動に伴う低気圧性渦の低次および高次生物生産機構 黒潮前線の
時空間構造とその変動が
ブリの回遊に与える影響



マグロ属魚類の成長・生残・回遊

 日本の食文化を語る上で不可欠な食材、マグロ。寿司のネタとしてはもちろん、ツナ缶の材料としても重要な水産資源です。2mを超える巨体と大洋を渡るその生態は私たちの興味を引き付けてやみません。しかしながら、近年その資源状況の悪化から、持続可能な利用と資源の管理は国際的な議論の的となっています。私たちの研究室は日本周辺に分布するクロマグロやキハダ、ビンナガをはじめとするマグロについて、小型記録計を用いてその回遊生態について調査しています。また、環境変化がもたらすマグロ資源への影響を調べるため、クロマグロの卵や仔魚、耳石などの化学的解析をもとに研究を行っています。

乱流がマグロ属などの魚類仔魚の生残と摂餌に及ぼす影響
マグロ属魚類の回遊行動生態と稚仔魚の輸送拡散機構
海洋環境の変動がマグロ属魚類に与える影響


マグロ属魚類の体温保持機構
地球温暖化に伴う
クロマグロの成長・生残
酸素同位体を用いた
クロマグロの成長環境履歴


歴史的文献にみる
マグロ漁業の変遷



沿岸生態系

 沿岸域の自然環境は潮汐や海流など、様々な物理的要因に影響を受けます。では、そういった物理的な環境は沿岸域の生物にどのような影響を与えているのでしょうか。私たちの研究室は沿岸観測や数値シミューションなどを用いて、アワビ幼生の分散過程やムール貝の生産機構などについて研究を行っています。

浮遊幼生期の流動環境を考慮したアワビ資源の保護区設定
英国メナイ海峡の
強乱流混合海域における
ムール貝の高生産過程
流動場同化モデル・DELFTなどを用いた流動解析の普遍化
若狭湾・丹後海における
流動構造と関連した
スズキ稚仔魚の回遊機構の解明



その他

アカウミガメ幼体産卵巣脱出に
与える人による踏圧の影響