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歴史的文献にみるマグロ漁業の変遷


近年、海水温の上昇をはじめとする海洋環境変動は主要マグロ属魚類(クロマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガ)の生息域に大きく影響を与えるとともに各地の漁業に多大なる影響を与え、新聞やテレビなどで大きく取り上げられています。しかし、新聞などのメディアで報道されるマグロ属魚類の漁獲に関する記事は、詳細な漁獲量や漁獲場所などの貴重なデータを含んでいるのにも関わらず、これまで統括的にまとめられてきていませんでした。特に、三大全国紙である読売新聞、朝日新聞、毎日新聞のオンラインデータベースは、過去約130年間分の記事が全て保管されており、日本におけるマグロ漁の歴史的な移り変わりを明らかにする上で重要な手がかりになると考えられます。そこで本研究室では、過去の新聞記事からマグロ漁業の歴史的変遷を調査しようと試みています。


図1 明治時代に報道された記事の地理的分布。主に関東・東海・東北の沿岸域における豊漁の報告がみられた。 図2 大正時代に報道された記事の日本全国の地理的分布。関東・東海・東北沿岸域に加え、日本海において2件の報告がみられた。日本海におけるクロマグロ分布の知見が乏しかったことが示唆され(図3)、この頃から本格的なクロマグロ漁場調査が始まった。
図3 「鮪は裏日本へまわった」 1917年8月13日に掲載された記事(読売新聞)